<内容>
近年の大規模緊急発掘の爆発的急増により、韓国における青銅器時代関連資料も未曾有の充実ぶりを見せるに至っている。それに伴い、青銅器時代に対する既存の停滞的なイメージも、より活発で複雑な社会としてとらえる見解が提示されるようになってきた。本論はこのような流れを基本的に受け入れるものであるが、従来の研究であまり扱われることのなかった当時の人々の生産活動に注目する。土器づくり、玉作り、食糧生産など、青銅器時代における様々な生産活動を考古資料から検討し、さらにはそれらが背景となる社会の中でどのような意味を持っていたのかを考える。本書は大きく2部からなる。第1部では日本の弥生時代の開始年代とも直接かかわるこの地域の編年と年代を扱った。第2部では様々な生産活動が時期とともにどう変化し、それがどのような社会的背景と結びつくのかについて論じた。

<目次>
序言
　1.青銅器時代に対する新たな認識
　2.研究の目的と方法
　3.検討対象資料
第1部　青銅器時代の編年と年代
　��.編年
　　1.先行研究
　　2.地域別編年
　　3.綜合と段階設定
　��.年代
　　1.放射性炭素年代法使用に関する問題点
　　2.中国青銅器の紀年銘を通して見た琵琶形銅剣の年代
　　3.青銅器時代前期の銅剣を取り巻く問題
　　4.青銅器時代の暦年代
　��.小結
第2部　青銅器時代の生産活動と社会
　��.青銅器時代の生産活動概観
　　1.穀物遺体と耕作遺構
　　2.石器組成の変化
　　3.青銅器の登場と生産
　　4.土器の生産
　　5.玉の生産
　　6.小結
　��.土器焼成技法の変化と社会的背景
　　1.土器焼成痕の種類と解釈方法
　　2.青銅器時代土器焼成痕の検討
　　3.青銅器時代土器焼成遺構検討
　　4.土器焼成技法変化の背景
　　5.小結
　��.玉の生産・分配体系と社会
　　1.青銅器時代玉の種類と変遷
　　2.天河石製玉の生産体系と分業
　　3.管玉の製作と規格及び使用形態の地域性
　　4.玉を取り巻く変化
　　5.小結
　��.青銅器時代生産活動と社会変化
　　1.青銅器時代での集落数と継続期間の変化
　　2.長期継続型集落の増加と生産活動
　　3.集落間関係の階層化
　　4.小結
結語