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2005年3月に開催された、近畿弥生の会第1回テーマ討論会『墓制から弥生社会を考える』の記録集。弥生墓制に関する論考を新たに加える。近畿地方の弥生墓制研究に関する最新の研究成果をもとに、行われた研究発表・討論会の記録。群集する周溝墓・台状墓から、何が読み取れるのか。階層・親族関係・地域差・系譜などについての多様な解釈が議論の焦点に。弥生社会研究の今がわかる。
◆推薦文◆
本書は、やや沈滞気味かと思える弥生墓制研究の動向の中で、近畿を中心とする各地域の方形周溝墓などを集成し、検討した画期的な本だ。方形周溝墓をはじめとする区画墓には大・中・小があり、区画内の墓壙・木棺にも大・中・小がある。大きな家に住んでいた人たちは大きな墓に入り、小さな家の人たちは小さな墓に入ったのか?　同じ区画内に埋葬された人々は同世代の家族なのか、複数世代の主要人物たちなのか?　など未解決の課題について各墓群の分布状況や
区画墓内の墓壙の重複状況などから類型化し、討議されている。その上で、墓制から弥生社会を復元しようとする大胆な視点は示唆に富んでいるとともに、最新の資料にもとづく研究の到達点を示していて魅力的である。　石野 博信(徳島文理大学文学部教授　奈良県香芝市二上山博物館 館長)

◆目　次◆
刊行にあたって……………濱田延充
例　言
I.研究発表編
「近畿における方形周溝墓の基本的性格」……………藤井　整
　質疑応答
「近畿北部の弥生墓制の展開」……………肥後弘幸
　質疑応答
「方形周溝墓制の埋葬原理とその変遷-河内地域を中心に-」……………大庭重信
　質疑応答
「方形周溝墓の系譜とその社会」……………中村大介
　質疑応答
II.討論編
第1回テーマ討論会「墓制から弥生社会を考える」討論
III.論考編
「北陸地域における弥生墓制ならびに北陸地域から見た近畿における弥生墓制に対する意見」……………赤澤徳明
「伊勢湾岸地方と近畿地方の弥生時代墓制」……………宮腰健司
「大和地域における墓制および墓制研究の実態と課題」……………豆谷和之
「紀伊地域における弥生時代の墓制およびその研究の実態
-近畿弥生の会テーマ討論会「墓制から弥生社会を考える」で、思うこと-」……………土井孝之
「西摂地域における弥生時代墓制および弥生墓制の実態と課題」……………篠宮　正
「吉野川河谷(阿波地域)における墓制および墓制の実態と課題」……………中村　豊
「香川における弥生時代前期の墓制-佐古川・窪田遺跡を中心に-」……………信里芳紀
「山陰における弥生墳墓の検討」……………中川　寧
IV.資料編
第1回テーマ討論会　参加者の希望する討論議題・意見
V.総括編
「方形周溝墓と弥生社会研究-近畿地方を中心に-」……………若林邦彦
編集後記……………菅榮太郎
執筆者・討論司会・編集者の紹介