<内容>
玉手山1号墳は墳丘長110mの前方後円墳。本書は、大阪市立大学が2004年度に実施した発掘調査報告書である。墳頂の板石積みの方形壇、くびれ部の白色円礫など、興味ある新知見がえられた。埴輪から4世紀第2四半期に位置づけられる。また、その墳形は渋谷向山古墳の相似墳とみられるため、宮内庁による過去の調査をまとめ、埴輪の実測図を作成し、向山古墳の現時点でのデータを整理した。河内最有力の玉手山古墳群の大型前方後円墳として重要であり、また渋谷向山古墳の基礎資料としても有用な一冊である。

<目次>
第1章　序論
　第1節　調査研究の目的
　第2節　位置と歴史的背景
第2章　発掘調査の計画と実施
　第1節　過去の調査と1号墳の年代観
　第2節　玉手山1号墳の立地と現状
　第3節　発掘調査の課題と調査方針
　第4節　調査の経過
第3章　調査の成果
　第1節　調査区と成果の概要
　第2節　後円部の調査成果
　第3節　くびれ部と前方部の調査成果
　第4節　墳丘に使用された石材とその採石地
　第5節　墳丘の復元
第4章　出土遺物　
　第1節　埴輪
　第2節　その他の遺物
第5章　考察
　第1節　1号墳出土埴輪の位置
　第2節　白色円礫　その機能と変遷
　第3節　玉手山古墳群の複数埋葬
第6章　渋谷向山古墳の検討
　第1節　渋谷向山古墳の墳形について
　第2節　渋谷向山古墳の埴輪
　第3節　石枕小考　伝渋谷出土石枕について
　第4節　伝渋谷出土の三角縁神獣鏡
第7章　玉手山1号墳と倭王権
　第1節　渋谷向山古墳の墳丘と玉手山1号墳
　第2節　玉手山1号墳の位置
　第3節　渋谷向山古墳と佐紀古墳群
　第4節　玉手山1号墳の意義
図版