【書評】
・季刊考古学117号(雄山閣)　2011年11月　木下尚子様
・沖縄タイムス　2011年6月18日　片桐千亜紀様
　「研究者だけでなく、一般読者にも大変読みやすい。読み終えたとき、読者は当たり前であった「島で生きる」ということに、あらためてさまざまな思いをはせることになるだろう」
・琉球新報　2011年6月19日　大堀皓平様
　こちらで書評お読みいただけます
・八重山毎日新聞　2011年5月7日　得能壽美様
　「テーマに則してよくまとまった論文集であり、やや専門的だが話がバラバラにならないので理解しやすい本に仕上がっている(本文より抜粋)
・南島考古No.30　瀬戸哲也様　書評
【受賞】
伊藤慎二氏(編者)が研究題目「先史琉球の土器と社会」で第35回沖縄研究奨励賞を受賞
受賞内容はこちらからご覧いただけます
【内容】
　先史時代の沖縄はパラダイスではなかった。それどころか、人口が断絶した可能性すらあった。
　高宮広土が唱えた琉球列島考古学の新仮説をめぐって、2008年に沖縄県立埋蔵文化財センターで開かれたシンポジウムは大きな関心を集めた。そこで、高宮仮説と伊藤慎二の反論を皮切りに、地理学・動物考古学の最新到達点を踏まえて、先史・原史時代の琉球列島考古学の論点と今後の課題を若手研究者が中心となって展望するのが、本書の試みである。
　そこには、日本最南端の地域的問題ではなく、世界の島嶼地域や東アジア全域にも関連するヒトと景観形成史の多様な諸問題が含まれている。
【推薦文】
　新しい琉球史を知ろう
　東アジア史に興味を持つ私に、座右の書とする本が出版されました。高宮広土・伊藤慎二両氏により、執筆・編集されたこの本です。　両氏は、今まで既に琉球史の再構築に大変なご功績を上げてきた著名な先史学者です。巻頭を飾る両氏の論考二編は、いずれも琉球社会の発展段階に関して新視点を提供し、今後、学界で高く評価されるものです。同時に、本書には、自然科学者と考古学者の論文九編も掲載されています。これら論文には、島々の人類生活史と、取り巻く自然環境との有機的な関係解明に、最新の研究成果が盛り込まれているものです。
　以上のごとく、本書は、琉球列島の先史・原史社会を、多角的に知ろうとする者にとって、まことに格好の良書です。そこで、琉球史に関心を持たれる皆様方に、是非とも、本書のご一読をお薦めします。
元國學院大學教授　加藤　晋平
【目次】
巻頭言
内山純蔵　景観の視点から琉球列島を考える試み
序論
高宮広土 琉球列島の考古学 新たな風の中で
第1部　琉球列島の景観を最初にみた人々をめぐる仮説
高宮広土　ヒトはいつごろ沖縄諸島に適応したのか:『貝塚時代前IV期』説
伊藤慎二　先史琉球社会の段階的展開とその要因 貝塚時代前I期仮説
第2部　琉球列島の景観の形成と資源利用
河名俊男　琉球列島におけるサンゴ礁形成史と地震・津波
黒住耐二　琉球先史時代人とサンゴ礁資源 貝類を中心に
樋泉岳二　琉球先史時代人と動物資源利用 脊椎動物遺体を中心に
新里亮人　グスク時代の窯業生産と農業生産
第3部　先史・原史時代の琉球の人々と文化景観
高宮広土　狩猟採集民のいた島、沖縄
安座間充　貝塚時代琉球列島の交流・交易史 列島南縁の島嶼世界にみる交流の風景
宮城弘樹　グスク時代に訪れた大規模な島の景観変化　
新里貴之　琉球列島における埋葬遺跡の文化的景観
島袋綾野　先島諸島の先史時代 八重山諸島を中心に
結論
伊藤慎二　琉球列島の新石器化と現代化をめぐる景観変化