<内容紹介>
　手越向山(てごしむこうやま)遺跡は、弥生時代中期前葉の「丸子式土器」の標識遺跡として知られる佐渡遺跡に隣接する遺跡であり、弥生時代中期後半の方形周溝墓の発見とその下層の畠状遺構の発見という、二つの大きな成果を得ることができた。
　手越向山遺跡の調査は、予想しなかったいくつかの成果をもたらしたが本報告が日本列島の農耕文化形成期の研究に新たな視点を形成する一助となれば幸いである。
<目次>
第1章　序　説 　
　第1節　佐渡山周辺の考古学
　　1)佐渡山周辺の考古学　2)初期農耕への視点
　第2節　遺跡の環境
第2章　調査の概要
　第1節　調査の目的と調査に至る経緯
　第2節　遺跡の位置と調査の方法
　第3節　調査の経過と調査の組織
　第4節　調査日誌抄
第3章　調査の成果
　第1節　第1次〜第5次調査の概要
　第2節　方形周溝墓の調査
　　1方形周溝墓の調査の概要　2周溝と墳丘の構造　3埋葬施設の構造　4出土遺物 　
　第3節　畠状遺構の調査
　　1)畠状遺構の調査の概要　2)第3次調査における畠状遺構の確認 　　3)第4次調査における畠状遺構調査の方法 　　4)畠状遺構の覆土の構造 　　5)畠状遺構の下部構造 　　6)出土遺物 　
　第4節　その他の遺構と遺物
　　1)その他の遺構　2)手越向山遺跡出土遺物
第4章　畠状遺構の自然科学的分析
　　1)畠状遺構周辺の微化石分析
　　2)畠状遺構覆土の水洗選別調査と検出された植物種実分析
　　3)畠状遺構覆土の自然科学的分析
第5章　考察・論考 　
　第1節　丸子式土器の検討と手越向山遺跡の位置
　第2節　佐渡山周辺の弥生時代石器について
　第3節　急傾斜面における空間利用について　土木工学的視点からの検討 　
　第4節　手越向山遺跡畠状遺構の構造と特徴 　
　第5節　手越向山遺跡の方形周溝墓について
第6章　調査の総括 附編
　附編1　手越向山遺跡(第2次調査)における自然科学分析 　
　附編2　手越向山遺跡(第4次調査)における自然科学分析 　
　附編3　手越向山遺跡の畠状遺構から出土した炭化種実 　
　附編4　畑地作土と推定される堆積物の微細堆積相