<内容>
　古代律令政府は全国を60ほどの国に分割しました。国には、大・上・中・下国の等級があり、近江国は大国に位置づけられていました。
　 現在の大津市瀬田に置かれた近江国府は、近江国レベルの行政や司法、軍事、祭祀などを統括していた律令制度地方行政の拠点です。これまでの調査で、その政庁中枢の構造があきらかになり、さらに、巨大な倉庫群(惣山遺跡)、国司館とされる建物群(青江遺跡)、勢多駅とされる建物群(堂ノ上遺跡)など、関連する諸施設が相次いで発見されるなど、そのスケールの大きさ、豊かさは目をみはらせるものがあります。
　 また近年、こうした他の国府には見られない壮麗な構造から、近江と関わりの深い、時の権力者・藤原仲麻呂の関与をみる見解も有力になってきています。
　 今回の展覧会では、近年の発掘調査から得られた実物資料を中心に、模型や調査時の写真などから、改めて近江国府の実態に迫っていきたいと思います。 (企画展案内文より)
<目次>
第1章　近江国庁の発見
第2章　近江国府の威容　
　第1節　官道に沿って展開する官衡
　第2節　国府周辺の寺社
　第3節　藤原仲麻呂と保良宮
第3章　国府周辺の生産遺跡
第4章　官人の暮らし
付論
飛雲文瓦からみた近江国府の創建
近江国府をめぐる二つの製鉄遺跡　木瓜原遺跡と野路小野山遺跡