※発行元品切れとなりました(2021/3/9)
<内容>
　日本列島内の織布の存在はすでに縄文時代から知られ、特に律令期においては調庸布として地方から都に貢進される一方、在地の特産品として生産し交易活動がおこなわれていたことは周知のとおりである。
　前近代では支配者層向けの生産と民衆向けの生産が一貫しておこなわれていたが、貢納に関わっての支配者層向け布製品の生産や流通に関わる史料は比較的豊富でありながら、ローカルな生産や流通に関わるような史料は少なく、その実態は未だ不透明である。
　今回の研寃集会では、列島各地で出上している紡織縫具に関わる遺物や、それら遺物が出土している遺跡の検討を通して、末だ不透明な状況となっている古代地方社会における紡織および衣服生産体制のあり方と、それら技術の特質などについて考古・文献の両視点から考えてみたい。
(開催趣旨より)
<目次>
平野 修　研究集会「紡織の者古学　紡ぐ・織る・縫う」の開催にあたって　趣旨説明
末木 健　古代中部地方における手引金　考古資料としての紡織縫具
中沢 悟　紡錘車について
鈴木敏則　木製紡織具の画期と背景　東海の事例から
合田芳正　「縫う」　針とその周辺
三上喜孝　古代日本における織布の生産と流通　文字資料を手がかりに
大橋信弥　渡来氏族と織物生産　秦氏を中心に
東村純子　考古学からみた紡織技術と生産
く紙上発表〉
岡野秀典　山梨県出上の紡錘車再者　集成作業を通じて
今村直樹　平田宮第2遺跡出土古代織機について
御山亮済　段付き布巻具からみた布幅の検討
大蔦正之　甲斐市域出土の紡錘車