※2010年2月に国史跡に指定されました
※2頁3の付図(別冊)とは附属CDのことです

10世紀後半〜11世紀末までの居館跡である。遺跡は、西・南・北を川に囲まれた独立丘陵の小吉山と大鳥井山に立地する。前九年合戦の経過を述べた『陸奥話記』には、安倍正任が「初め出羽の(清原)光頼が子、字は大鳥山太郎頼遠の許に隠る」という記述がある。地元では、この「大鳥山」は現在の大鳥井山周辺のことで、清原光頼・頼遠父子の根拠地であったと認識されている。
　　遺跡の発掘調査は、横手市教育委員会がこれまで11回実施しており、周囲を大規模な二重の空堀により区画する防御性の高い居館跡であることが判明している。小吉山は地形や大溝によって4地区に分かれ、居館の主体とみられる北側の区画をはじめ、各地区で複数の建物跡(掘立柱建物跡)が見つかっている。大鳥井山は2地区に分かれ、横手川に面した平場で周囲に庇の付いた規模の大きい建物跡(掘立柱建物跡)が見つかっている。また出土遺物の大部分を占めるロクロ土師器は、10世紀後半から11世紀末のもので、前九年合戦・後三年合戦の年代に符号する。
　　このように大鳥井山遺跡は、居館の具体的な内容が把握され、特に大鳥井山ではその様相が良好に保存されている。また前九年合戦・後三年合戦の内容を記した文献に現れる清原氏に関連する遺跡の内容が具体的に知られる貴重な例である。(教育委員会パンフレットより)