<内容>※本紙”開催趣旨”より
　昨今、政治的混乱にある西アジア地域は、今日の我々の暮らしに直結する数々の装置やシステムが発明されてきたところであり、人類史においてその重要性は他の地域に比肩するところがありません。ところが、長い政治的混乱から抜け出せない状態が続き、終息の兆しが見えない状態であるのは、ご承知の通りです。
　こうした現在こそ、日本西アジア考古学会として、西アジア世界が生み出した文化のもつ魅力とその現代社会における意味について、改めて社会に訴える必要があると考えています。こうした中で、古代西アジア世界の食文化を代表するワインとビールを採り上げ、その最新の考古学的知見と現代社会との関わりについて広く社会に発信していくことを目的としています。
<目次>
常木 晃　西アジアから現代への贈り物　平原のビールと山のワイン
近藤 二郎　古代エジプトのワインとビール 供物としてささげられた特別な飲料
山田 重郎　楔形文字文書にみるメソポタミアのビールとワイン
馬場 匡浩　エジプト先王朝時代のワインとビール
長谷川 修一　旧約聖書に見られるワインとビール
津本 英利　ヒッタイト帝国のワインとビール　古代アナトリアの飲酒文化
赤司 千恵　植物考古学から見た古代のお酒
上野 昇　醸造学から見た古代西アジア・エジプトのワイン　古代と現代のワイン醸造を比較する