※品切れとなりました(2024年4月17日)。ありがとうございました。
新シリーズ「学芸員と歩く」
学芸員が一緒に歩いて説明してくれているような遺跡散策ガイドブックです
※本シリーズの刊行は不定期です
【内容】
　　本書は、体験者の証言に代わるものとして、近年注目を集めている戦争遺跡について、愛知県という地域に限ってまとめたものです。
　単なるガイドブックにならないように、それぞれの戦争遺跡の歴史的な背景や軍が施設構築にどのような考えがあったのか、なども図をいれて記述しています。軍隊の成立した明治の初めから、大正を経て、昭和に至る各時代の軍事施設、軍需工場、太平洋戦争中の本土決戦陣地や空襲まで幅広く取り上げました。
　特に本書の特色は、「近代国家と国民」の章を設け、公園や神社などに残る石造物、石碑をテーマ毎(軍人勅諭碑、奉納兵器、乃木希典と東郷平八郎の像など15項目)に紹介していることです。手軽に戦争に関する痕跡を訪ね、見つける喜びを得ることで、近代の歴史への興味が深まり、未発見資料への探究心が芽生えることを願ったものです。(著者)
【目次】
戦争遺跡とは
第一章　名古屋の戦争遺跡
　1　名古屋城に駐屯した軍隊
　2　日清戦役第一軍戦死者記念碑
　3　名古屋の航空機製造
　4　名古屋の地上防空部隊
　5　防空緑地を計画する
　6　焦土と化した名古屋
第二章　愛知の戦争遺跡
　1　知多半島から始まった軍事演習
　2　うみの飛行場
　3　巨大化する名古屋陸軍造兵廠
　4　疎開工場の構築
　5　移築された建物・今と昔
　6　軍都豊橋
　7　陸軍第一技術研究所伊良湖試験場
　8　豊川海軍工廠
　9　海軍航空基地
　10　豊橋・岡崎の戦災空襲
　11　本土決戦準備
第三章　近代国家と国民
　1　誓いの御柱(五箇条の御誓文)
　2　軍人勅諭
　3　凱旋門と凱旋記念門
　4　奉納兵器
　5　楠木正成・正行像
　6　「八紘一宇」の碑
　7　戦地の軍人を気遣う
　8　武運長久を祈る日参団
　9　令旨塔
　10　乃木希典と東郷平八郎の像
　11　代替梵鐘
　12　慰霊の像
　13　飛行機事故
　14　軍馬の慰霊
　15　日中友好の礎
近代史年表

【書評など】
・朝日新聞(夕刊)　2021年6月19日　ほんの裏ばなし　「考古学の出番　昭和にもあり」
・朝日新聞(夕刊)　2017年1月25日　「戦争語る遺跡たどって28年」
・中部経済新聞　2016年9月20日　「各地に残る記憶後世に」
【著者略歴】
伊藤厚史(いとう　あつし)
　1961 年生まれ　奈良大学文学部文化財学科卒業
　名古屋市教育委員会事務局生涯学習部文化財保護室 学芸員
【主な著作】
　『戦史考古学研究』No.1〜8(単著 自費出版2003〜2013)
　『ソ満国境関東軍要塞遺跡群の研究』(共著 六一書房2001)
　『愛知の戦争遺跡ガイド 改訂増補版』(共著 あいち・平和のための戦争展実行委員会2002)
　『しらべる戦争遺跡の事典』(共著 柏書房2002)
　『愛知県史 別編 文化財1 建造物・史跡』(共著 愛知県2008)
　『フィールドワーク 豊川海軍工廠』(共著 平和文化2015)